大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)293 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人弁護士荒木鼎、同今福朝次郎、同佐藤安哉の上告理由第一点について。

本件第一の土地の耕作権がD(被上告人B1外九名の被相続人)から上告人に移

動した旨の右D、上告人連名の昭和二一年五月四日付届書がa村農業会長に提出さ

れたことは、原判決の確定した事実であり、また本件第二の土地の耕作権が被上告

人B2から上告人に移動した旨の両名連名の届書は、別に同年四月頃作成されてい

ることは、被上告人B2の主張自体から明らかである。然るに甲第一四号証、第一

五号証を見るに、a村農地委員会において右届書の件を承認する趣旨の記載がなさ

れているところ、原判決は原審証人E、同Fの証言により甲第一四号証の証明者で

あるE及び甲第一五号証の証明者であるFは上告人の依頼を断り切れないで、内容

不明のまゝ証明してやつたに過ぎないものであること、そしてこの事実と挙示の証

人の証言により甲第一四号証、同第一五号証記載のような決議は存在せず、従つて

その決議の対象たる農地の移動は右書証によつて証明せられないものと認むる外は

ないと判示しているのである。しかしながら、本件記録によつて明かなように、右

Eは右承認決議当時右農地委員会の委員長であり、右Fはその書記の地位にあつた

ものであり、従つて同人等は農地委員会の議事録作成の責任を当然に有していたも

のと認められるにもかゝわらず、前示のように上告人の依頼を断りきれないで内容

不明のまゝ証明してやつたに過ぎないものであるなどと供述することは到底納得し

得る筋合のものではない。況んや右両書証によつて明らかなように、右議事録には

本件農地関係の部分のみが記載されておるものではなく、同一機会に審議された他

の農地の変動についても記載されてあるにかゝわらず、この後者の変動については

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右の如き供述を何らしておらざるにおいておやである。しからば、右両証人の供述

よりしては、他の挙示の証人の証言と相俟つて認定してはいるものの、決議の対象

たる農地の移動は右両書証をもつては証明せられないものと認むるの外はないと推

認しているのは到底首肯し得ざるところと言わざるを得ない。従つて、上告人がそ

の主張するところの本件農地の小作契約の合意解除を証する書面として提出した甲

第一四号証、同第一五号証に対する原判決の判断は審理不尽ないし理由不備という

の外なく、この瑕瑾は原判決主文に影響すること勿論なるが故に、本上告論旨は結

局理由あるに帰し、原判決はこの点において到底破棄を免れない。�

よつて、民訴四〇七条により、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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